ホワイト/
 
涙が邪魔だから
瞳はもう必要ない
見ることは諦めて
耳をすます
そんな日々が転がり始め
ホワイトシチューの中に溶けていく
しばらくこれだけを食べて過ごそう
鍋をぼんやりと見つめながらそう決意する

+

国境を知らない僕は
白線の上を歩きながら
ふとどこまでも行ってしまいたくなる
「この電車は当駅止まりです」
どこか気のぬけた声が聞こえる

+

食べたいものが
どこから来るのかも知らず
好きな音だけを選んで拾って
胃の中で溶かしていく
今日も白くはなかった
明日も白くはないだろう
不思議と黒にならない色を
毎日毎日繰り返し混ぜ合わせていく

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