まぁるい/
水中原動機
春も夏も秋も冬も
いつからか色をうしなって
ただ繰り返していた日々
遠すぎる空のむこうで
ぼくの声もぼくの体も
いまはもう誰のものでもなくて
誰のものでもないぼくを
まぁるい月が照らしている
それを見ているぼくは
ようやくちゃんと笑える
ようやくちゃんと泣ける
際限ない闇のむこうで
さよならを言う人はいなかった
言うべき人はいた
いなかったのではなく言えなかった
いまはもう二度と言えないな
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