夏葬/
きりはらいをり
十月のがらんどうな空に
ただ風が吹き付ける
風は力尽きた木の葉をさらって
ああ、今度こそ
夏が遠ざかってゆく
私の足元に転がる屍はきっと
現存する最後の夏の証
短すぎる生涯をすべて賭けて
太陽の真下で歌う群れの中に
あの時おまえもいたのだろうか
墓標はなく
手向けに花も置いてやれないが
あの夏、この空の下
蝉よおまえは確かに生きた
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