あがく…/清風三日月
一寸先も見えない
闇の中に立っている
目の前が崖かも知れぬ
そんな状況で足がすくむ
手探りで前に進もうと
思えど手に触れる
壁すらもない
気付くと自問自答が
始まっていた
自分は何だ?
自分を見つめれば
見つめるほどに
分厚く塗り固められた
良い人という仮面が
剥がれ落ちてゆく
ボロリ…ボロリ…
真っ暗な中で
ただ分厚い面の皮だけが
剥がれ落ちるのが分かるのだ
嫌だ…
落ちるんじゃない!
とにかく落ちた皮を
拾い集めて元に戻そうとするが
まるで砂のように…
指の間をすり抜けてゆく
どうすれば良い?
もはや全身の皮が
剥け落ち…
血が噴き出す
まだ生きているのだけは確かだ!
あがけ!
何者かなど
関係ない!
自分の信じる道を
進むしかないのだから。
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