キス/麦穂の海
 
金色に
微笑んだ


母の
「あ、笑った」
という驚いた表情
気高い一瞬


あの瞬間に
父は
「今だ」
と思ったに違いない



命の炎の
最も小さな切片になっても
人は感情を燃やし
人たり続ける


全てがまるで物語のように
全てが穏やかで眩しかった




le mercredi 28 septembre 2011
35年間の愛を全うした、父と母に捧ぐ
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