終身刑/はだいろ
 

遠い遠い国で投獄された
終身刑だった
手の届かないところに
小さな窓があり
月のひかりが差し込んでいる

よその国でも
ふるさとの虫と同じような声の色がする
ぼくはしみじみと子供のころを恋しがる
ぼくは日本人
骨の髄まで日本の男の子だ

ちっとも笑わない少年の看守が
カセットデッキに
日本語のテープをつけて差し入れてくれた
どこでどうやって手に入れたのか
海辺に流れた発砲スチロールの中からか

ぼくは志ん生の落語を聴いて
毎日泣くだろう
心の底から、笑って、歌うだろう
ぼくは日本の男の子
遠い国で今はもうないふるさとを思う




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