アルト/碧姫
 
手荷物が重すぎて それでも担ぎ上げて笑いかけた
だってキミが望む事だからそれは仕方ないよねと
いつの間にか強がりは普通になって
何か泣き出すときの声までアルト

装う事が現実で 現実こそが装う事で
アルトが自分でソプラノが他人?
あぁ 柿の木にも見たことの無い鳥がいるね
ふぅ 溜息をつくと闇に狸が走っていった

殴られた腕が痛すぎて それでも目を見つめてそらさなかった
すくっと立ち上がってキミに笑いかけさえした
当然だけどいきがってる自分になって
なぜか抱き寄せられるときの声までアルト

覆る事が真実で 真実こそが覆る事で
よっぴいた弓の張り具合さえももしかして逆だったりして
あれ 私の声が失われていってるのかな

あ あぁ あぁぁあ

この声は誰?





あぁ 銀杏並木が近くにある
不思議に好きな匂いが漂っているから

ふぅ 溜息一つ 咥えて猫が走り去った
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