私へのコラージュ/草野春心
 


{引用=   悲しみを一匹の鼠と錯覚していた正午に、
  石から石へと移ってゆく影こそが私なので
  あった。落葉が、古くなってしまった楽譜
  のようにぺらぺらと捲れてゆくときに、ゾ
  ウリムシより微小なのも私なのであった。
  追う視線としての謙虚な家屋でさえも私。
  扉は扉に開き、動く動きは動きをやめない。



   過去から落ちた無数の、丸く透明な柘榴。
  それらが驟雨となってあなたの細い肩へと
  注ぐとき、自らの静脈を流れる赤さについ
  て思索を巡らせている間抜けは私ではない。
  低く重い金属音を響かせつつ、あなたが暗
  闇へ一歩目を
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