かまどの夕べ/黒髪
 
いつも、いつも思いつくんだあの記憶
遠い日の夕べのかまど
煙の匂い
炎の色
ただの記憶じゃない
デラックスな
ゴージャスな
哀愁の
限り
通り一遍でない
複雑に絡み合った
例えば兄とのケンカのあと仲直りして一緒に帰ったことや
遅くて閉め出されたことや
いつもそこにあった風景の、
なんと遠いことか
今では銭湯に通うようになったし
外食も月に一度
でも、昔にかまどを囲んだときは、帰らなくても遠くない

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