秋の炎は/橘あまね
 

ヒガンバナが今年も灯る
曖昧を許さない輪郭で
そのくせひどい曖昧を宿す

秋に咲く大輪は葉を持たない
何もなかったところから花火みたいに
茎だけで伸びて

夢見がちなひろがりではじけて、
そのうち栄養がなくなって
散るだけかい、って君は尋ねる

ヒガンバナは黙っている
秋の記憶を新しく、深く刻む
朱い覚悟を燃やしながら
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