葬式/
高濱
米櫃虫がわれありと叫ぶ
草いきれに身を潜めて
米櫃虫がわれありと叫ぶ
何処へも行けず時計の様な男に背中を刺されて転がる義眼
何処にでもある様な詩を高らかに歌い上げる
空から落ちてくる檻、檻、檻
狭過ぎる檻の形に成った男
箱男と親戚が葬式に集まり茶話会
棺から両手を前に垂らして起き上がる死者を押し込みながら霊柩車が停まらない
凍る空気を悲しんで歌い上げる
凄まじく音痴なリード線が引かれた古本
五円でも売れない
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