花火/つむ
十月頭の、すこし遅い花火大会
人類の都合なんて知ったことじゃないだろうけど
心配されていた天候もなんとか持ちこたえ
おくれて辿り着いた夜空には
縁日で売られている玩具みたいな
いろとりどりの光が 咲き誇っていた
地表には僕らが一晩を座り込んで
あ、ライムグリーンだね なんて話し始める
今度はマリーゴールド
そういえば今年の夏は
向日葵を見にゆかなかったね
ほら ツートンカラー
カラフルな太極図みたいだって
ちょっと格好つけて言ってみる
ほんとは、あ、モンスターボールって
呟きたかったんだけど。
続く打ち上げ花火の合間に僕は携帯を取り出して
君には見せられない詩
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