彼女の海/
ゆえ
りにさせる。
いつか僕は思い知るのだ。
海を見ている彼女の手を、掴むことが出来ない、その理由を。
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潮鳴りが聞こえる。
彼女が振り向く、僕がいつも見ている笑顔で、もう帰ろうか、と言う。
僕は、そうだね、と頷く。
砂浜を出て、来た道を引き返す。
目の前で彼女の細い腕が揺れている。
そっと指を絡めてみる。彼女が握り返す。
僕は深呼吸をする。
強い風に押されて、足が前へと動き出していく。
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