告白/雪路
 

それは
散りゆく紅葉の数の多さ
たった、それだけなんだ
それでも
虚ろな目をしていて
太宰治を手放さないでいた由紀が
たった一度だけ
透き通るように微笑むのを
私は見逃さなかったよ
ありがとう
私の最後の
親友よ

以上だ
私は明日
カムチャッカへと発つよ
どうかそれまで
由紀の涙を
一粒も零さず
グラスに溜めて
その写真を
私へと送ってほしい




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