φの唄/雪路
大好きな少女がいました
苛められることを最も恐れているのです
ですからサンドイッチの味よりも
自分が他人からどう思われているかで
頭が常に一杯で
味覚も視覚も衰えていくのです
そして耄碌し
ほんとうに美しいものを知らなくなり
結果的に、醜くなる訳ですが
そんな彼女の最後の砦は
まあ、学術で御座いましょう
程度の知れる、実践的哲学な訳です
三つ
現代人をねぎらう
圧巻の夕暮れで締めた後の
金を食うことで膨張する
闇の街のなかでは
信号機や街灯のみが
真実の輪郭を保障するのです
財力を根こそがれ
路上に捨てられた女は
最も妖艶な姿で
最も妖艶な夢
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