殺風景/花キリン
 

殺人事件があったが誰も騒がない
明日になれば忘れることができるし
隣の家の事件でも
こんばんわと挨拶するほどの仲でもないからと
テレビのニュースも素通りするだけだ

何のことはない
他人は全くの他人で
クレージーな時間はあまりにも多すぎるから
付き合いはごめん被りたいと
切って捨てるように言い放つ

座る椅子も
この頃は殺人鬼のように見える
隣人を愛せよとは誰が言ったのか
きりきりと眩暈がするようなことばかりで
封印された痛み止めなどは
たわ言に過ぎない

殺人事件があっても
他人事で日常を通り過ぎてきたから
これもその延長ですと顔色一つ変わらない

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