秋幻燈/salco
 
アキアカネ つ、つ と飛んで
サルスベリの花は墓場に相応しい
しろい花 あかい花 
手に取れば 鷺草、彼岸花に似て

柿の実色づく帰り道
家々に祭禮提灯 
横腹の赤三つ巴 火の玉舞うに似て
闇落ちの懐かしさが濃く気配

どこからか大太鼓を打ち鳴らす音
どぉうん どぉうん
あれは触れ ですのね
祓い ですの

秋はとぼります
来るのでなく、刷くのでなく
灯る のです

金色の鳳凰が揺れ傾ぐお練り
いなせな揃いの法被衆が後ろを
ついて行ったまま帰らぬ子が、ほら


{引用=(街道を俥で通りがかった母娘連れ)
娘  「あれ、お母さま
    緋鳥居の奥
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