電話BOXイリュージョン/和田カマリ
この街に唯一残った
道端の電話BOXから
大音量を上げて
呼び出し音が
鳴り響いていた
俺は中に入って
とりあえず
受話器を取った
とたんに音は止み
男の声がした
「もしもし。電信電話公社です。」
ずいぶん古風な男だ
「ただいま電話BOXの点検中です。」
そんなのがあるのか
知らなかった
「お客様、速やかなご対応、感謝します。」
「お礼に何か、望を叶えさせて下さい。」
「じゃぁ、女が欲しい。」
俺がそう言うと
急にボタンが点滅しだした
ポチッと押してみると
「110番警察です、どうしました。」
元気そうな女が出てきた
おお
テレフ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)