だんごむしのロンド/つむ
 
ごむしなので
声は立てません
だんごむしなので
聴こうと望むこころしか持ちえない
だんごむしなので
聴くことは叶わないのだと
だんごむしながら
知っているのです





美しいと思うとき
だんごむしは腹を見せ
しかし地球はこの回転する大宇宙の
ほんのはじの灰色の雲を抜け
突風をかすめ黒い地面へ衝突し
その上に 無様にころがる
だんごむしなので
だんごむしなので
望みえないと しっている
聴けないことも知らないよりは
聴けないことは知っていて
聴けないだけの 我が身と共に
音なき日々を転がろう
初夏の残光は世界を濡らし
春の凍土は冬より寒く
ちらつく雪は星より熱く
死骸を埋めるにふさわしい
聴けない罪を負ったまま
無音のかなたへ 朽ちてゆこう

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