だんごむしのロンド/つむ
一
地面がないときは歩かない
そう決めてたっていうのに
地面がない
地面がない
地面がない
ぼくはこわくて ひたはしる
足がないときは歩けない
そう思ってたっていうのに
足がない
足がない
足がない
まぼろしの足と 地面がこすれて
ぼくののどを歌がさかのぼる。
そのうち 世界はさかさまになる
ぼくは地面で足をかけ
歌のなかをぼくののどが滑る
景色がぼくのめだまを見つめ
大気が触角を感じ取る
地面がない
足がない
ぼくはいない
世界もない
なのに
こすれあう音だけが
どこか広く美しい暗い場所に響いている
ぼくはこわくなくな
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