電車/日常/自殺/つみき
 

電車内、「あの子リスカしたらしいよ」と吊革を掴んだ左手に包帯を巻いた女の子をけばけばしい睫毛の下の小さな二つの黒目で刺しながら女子高生が大きな声で言った

夕闇の中を軋みながら走るぼろぼろの電車の三両目にはわたしと女子高生と女の子しかいない、取り付けられた扇風機はぐるぐるとぬるい空気を撫でている
風景は何度も追い掛けて来てはまた流れていき、ただゆっくりと迫る闇に輪郭をぼかされてまるで日常のようにそこにあった

女の子は俯いたまま電車に揺られていたがたまに窓の方を見ているようだった
わたしと向き合って座っているけばけばしい睫毛の女子高生は女の子へ興味を無くしたのか、今流行っているブラ
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