パソコン/花キリン
この頃はパソコンを筆の代わりにしている
指先だけが大きく成長して脳の一部は退化してしまったが
それでも老いの防止にはなるからと
漢字などの変換機能に思考の一部を委ねている
この世界は魔物ですよと
迷い込んで死んでいったものたちの声が聞こえてくる
世界の隅々まで駆け足で回れるから
パソコンに紛れ込んだ誘惑の罠に落ち込んでしまうらしい
電気や電話ましてや水道のなかった時代があった
あの時代を営みの恥部と表現した輩がいたが
あの純粋な営みこそ生きる原点であった
危険な思想や罠などはどこにもなかったから
野原を裸足で走り回ることができた
貧しさ
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