アナザードライブ/ねことら
水だ。質量をもったひかりの束をだきとめて、ぼくたちは細い息をするだろう。少しだけ笑うだろう。世界は親切だろうか。どのような舗装がそれぞれの足元に施されているか、信じ切ってはいないだろう。空は薄っぺらく、剥がれそうに青いだろう。朝の空気はつめたく新鮮だろう。ふたりきり尖ったピンのように、危なっかしい素振りであるきだすだろう。アナザードライブ。それは仮定のものがたりだ。けれどどのような舗装がなされていようとも、速度の限界で走っていくしかない。終末のえらびかたは、だれにも譲り渡す必要は無いのだ。
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