愛おしきキミ/平沢ちはる
「もう起きていたくないの」と
固く目を瞑ったキミは
セカイに閉じ込められたスリーピング・ビューティー
過ぎ去る日々 陽は昇り 月が朧げに輝く
淡い光を放つ星を眺め キミが目覚める事がないようにボクは
ドラゴンの真似事をするよ
「ハッピーエンドなんて存在しないんだ」と
とても傷付けられたキミは
殻に閉じ籠ったスリーピング・ビューティー
己を守る殻は 卵のそれより頑丈で
いくら叩いても 割れない事をボクは知っているんだから
昨日キミを起こそうと人が来たから ボクはキミに隠れて赤い涙を流した
全てはキミのためなんだ
狂気と化したセカイに背を向けたキミを守るため
そのためならボクは このセカイを壊してやる
もう二度と目を開けないキミのために
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