しあわせトンボ/umineko
ほら
やわらかな終わりがきたよ
やさしい
天使の顔をして
私は
急に思うのだ
三途の川の水面にも
低く高く
トンボの群れが
乾いた
秋を告げるだろうか
ワシは
車を取りにいかにゃあいけん
病床の
父の口から
山あいの地の地名がこぼれ
そして
しずかに閉じられる
ああ
私も帰るのだろう
黄泉の流れの
水面をみつめ
トンボ
折からの川風に
逆らうように飛ぶ姿
同じ記憶は
ひとつとてなく
それでも
ここに飛ぶ意味を
教えて
私が流れる前に
やさしいアローで貫いて
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