陸で溺れる/
つみき
コップへ注いだ水を飲んだら溺れてしまった
「陸で水を欲するからさ」
俎板の上の鮎が嗤う
だらだら、というよりはすらすらと、皮膚の上を汗が流れていく
視界の隅で蜘蛛が歪む
首筋が 焦げていく
ぬめった空気を肺に入れるのも不快で
喉を冷やしたくて氷を頬張る
ねぇこれで溺れないでしょう、と俎板に目をやれば
鮎は黙り込み ぐったりとしていた
「陸を欲したわけじゃあないのにね」
じくり、と溶け出した氷は
ぬるぬるとして黴臭い空気と、同じ味がした
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