中秋の月/吉岡ペペロ
 

んて言葉をまた使っているじぶんに嫌気がさしていた


セックスのあと地下一階の鉄板焼屋で食事をした

シェフが焼いてくれるのを楽しそうに見つめながら

楽しい、楽しい?

女がなんども微笑みながらしがみついてきた

きょうは中秋の名月だから、デザートはおだんごでもいかがですか、

女は部屋に持って帰りたいと言った


大阪の町がしっとりと輝いている

その中空に鏡のようなきらめきが静止している

ソファの横のスタンドを消すとふたりでひとつに座った

宇宙船みたい、ハロー、ハロー、あなたも言って、

ハロー、ハロー、

あなたの目みたい、

あんなに光ってる?

あたしを見つめてくれている、

ガーリックライスのほのかな匂いがした

コンドームはあと三つしかない

外灯に照らされているみたいだ、

そう言って女の髪の毛にあごをのせた

外灯に照らされたベンチが浮かんだ

月光に照らされたちいさな運動場が浮かんだ

それからあいつの部屋の明かりの色が浮かんだ

それ以上は淋しくなるから考えるのをやめた
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