夏の葬列/
寅午
灼熱する夏の大地に
長くつらなるアリの行列
その列をたどると
いっぴきのセミの死にゆきあたる
地上にこぼれた命を
食らいつくすアリの集団
哀しみはなく
厳かさはなく
叫びはきこえず
真昼の大地に 暴走するアリの弔い
稲穂がみのり、虫の音がひびく
遠く、遠くつづくアリの葬列のさきには
夏の死がよこたわる
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