純夏/甲斐シンイチ
 
一ヶ月の自由をもらった子供たちが

真っ黒になって 川を渡っている

学び舎があるからこそ

八月の子らは 輝いているのでしょう


どんなに澄んだ空気であっても

風が吹かなかったら

涼しい 暑い がなかったら

それはつまらないものでしょう


どんなに純粋な水であっても

ミネラルさえもなかったら

冷たい 熱い がなかったら

それは美味しくないでしょう


どんなに暑い日であっても

蝉が鳴いていなかったら

風鈴と 線香花火がなかったら

それは夏とはいえないでしょう


つまりは万事 清きものには 一つ二つ

混じっているほうが 心地よい


湧き水を汲みに出かけた

風の強い 夏の日


そのように感じて なんだか

陽の高い あの日の

君のことを 想い出しました
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