ビリジアン/
水町綜助
しく
ただそこにいた
やわらかい葉をはむ黒い瞳も
犯されながら牡鹿を見つめる不安げなまなざしも
その後の日々、牡鹿を見つめ
しばらくしてほころぶ居場所のない愛情にみちた笑い顔も
牝鹿のどのようなさまも
そして牡鹿は人間であったため
涙を流すことをした
そしてひたすらに
森の中にいる
牝鹿の名を呼び続けた
呼び続けている
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