あなたにもわたしにも…/三之森寛容
 
して止まない
抱擁の小山
感謝する間も無く
秋風に乗って…


ゆっくりと流れる
癒やしだった
老いた大樹
孝行する間も無く
寒風に乗って…


街を後にするのに
時を要さないだろう
そう思っていた


“お客さん、すみませんね”
“渋滞にハマっちゃたみたいでー…”


使い古したメモ帳を開く
懐かしい文字達
横たわる筆記具を起こし
新しいページを開いて
新しい詩を綴る
時はまだまだありそうだから…
戻る   Point(1)