ママチャリで横浜まで/天野茂典
 
 


  ママチャリを漕いで
  16号線を走った 少年の日
  太陽はじりじり肌を焼いた
  片道40? カモメのジョナサン
  のように自らを鍛えるために
  でかけたのだった
  遠かった 何度引き返そうとしたか知れない
  でもぼくはママチャリを漕ぎ続けた
  自身への励ましだったのだ
  もう景色なんか眼に入らなかった
  サドルから腰を浮かして漕いだり
  競輪選手のように前傾姿勢で漕いだりした
  坂道がきつかった
  歯を食いしばった
  少年には完走しても何の褒美もない
  まだひまわりより背は小さいが
  ひまわりより情熱はあったとおもう
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