雨の格子/テシノ
 
振り向けば銀鼠
雨の格子に閉じ込められた独りよがり
メリーゴーランドから逃げ出した木馬の
回転しか知らない走り
雨の日のベランダで
列になって群れないパレード

眠らせてハモンドオルガン
カタカタ鳴らすブーツシャフト
薔薇色と嘯いて
ゆっくり明日へと見送る光

人々のスピードを嘲笑うカラスの急降下
くちばしで切り裂いて作る道に
かぁと一声残したら
あとから雨が追う

手をそわせるものを探す
寄りそうまででなくていいから
手の中に温度を探す
温もりほどでなくていいから
空に向けた手の平で
小さな魚を飼っている
雨を伝って逃げないように
人差し指に見張らせて

振り向けば銀鼠
次第に細くなる雨の格子に阻まれて
まだ間に合う  と見送る背中
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