長命な九月/小池房枝
 


キンモクセイ雨一夜分の潦(にわたずみ)

参られよ王子の狐オリオン群

白、薄黄、白銀とりどり花薄

光あれ魚影が魚体に添うために

風はまださまざまな色に騒がしい

咲き果てた向日葵どっしり涼んでる

夏のあと公園はセミの穴だらけ

跪くなんてあやうい文字だろう


水引が標結(しめゆ)ふ林に風ばかり

旅客機の孤影に点る夕日かな

一滝の萩 押す風を押し戻す

ドングリがぱたんぽとんと落ちる音

百日紅あらためて高く天を指す

地球照あの弓の下に何がある

猫は目をどこまで細められるだろう
  

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