さくらんぼ/
乱太郎
赤く濡れた月の蜜
追憶の茎から垂れ下がり
これから弄ばれることを夢想する
酸味の残った薄い唇
僕の指が軽くなぞると
風のせいにして髪に隠れようとする
火照って潰れそうな肉体
甘い香水の匂いが肌を潤し
大人になった喜びを発散させる
去年の今頃から
こうして触れあう予感はしていたけど
僕は離れて遠い場所にいた
だから
その間のことは何も知らない
ただ今は
その過去も呑みこんで抱いてあげよう
チエリー
そう呼ばせて
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