夏/
オイタル
疾駆する車の前を
白磁の蝶がひるがえる
蝶は
そそり立つ眉を持つ
白く焼けた小石から小石を
羽黒とんぼが渡る
ゆらゆら揺れる
かすかな悲鳴
夏の熱が山脈をかすませる
盛り上がる雲の峰と峰 そこに
彼女が 座る
黙って
彼女はもういない
彼女の今が
わたしを悲しませる
だれに
頼まれたわけでも
なかろうに
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