パレード/古代 透
眼鏡を外して電車を降りた
閉園のアナウンスが流れる頃に
金属製のゲートをくぐった
アスファルトの水滴が
輪郭を失ったパレードのように
商店の光を反射していた
黄色のビニール傘をさして
何か大きな荷物を抱えた男女と
すれ違う
破れてしまいそうな薄い肌に
どんな表情が滲んでいたのだろう
最後の客として急かされるように
ピンク色の観覧車に乗り込む
懐かしいメロディが
雨と空気の隙間を流れている
本日は雨により運転を見合わせています
あの日、ジェットコースターは
頂点にはりついて動きを止めていた
母の手にしがみついて
どうしても乗りたいと
泣き喚き困らせた
観覧車から窓を覗けば
くるくると光の粒が輪っていく
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