淘汰/紺
いいわけが思い付かなくなった
こじつければ無限にあった
あの頃は確かに
言葉は弱い私たちの
味方だった
* * * * * * *
体育館の
高い窓を見ていた
仰げば尊し
我が師の恩
小さな雲がひとつ
窓から窓へ
ひどくゆっくり
流れていった
* * * * * * *
眠らないことで
抵抗した
気配もなくすり抜けていく時間を
とどめたかった
時計と同じだけの歩幅が
ずっと合わずに
* * * * * * *
そうだ
不安の中に
矛盾した安堵があることを
発見した
落ちていく途中
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