aerial acrobatics 15/mizu K
ゆら、ゆらゆら
のぼる
紫色したものと
たわむれる
日の出後
からまったまま
鏡のむこうの窓の外
***
レインブーツを履かなくなってどれくらいになるだろう
そう思いながら
バス停に立っているひとがいる
傘をさして
雨もりのする
バス停で
そのひとのために
バスは走る
待っているひとのために
ワイパーがはじく
雨つぶはわらう
窓は開けはなたれて
車内はうるおう
つり革からしたたる
ムラサキツバメは夢見がちに浮かぶ
押しボタンがにじんでいる
あかく、あかく
つぎ、とまります
待っている
ひとがいるから
とまります
そのひとにあいたくて
いそぎます
ひとにこがれて
せくのです
もうすぐ
もうすぐです
でも
ひとは待たずに
行ってしまった
行ってしまった
去ってしまった
バス停には
誰もいない
誰も、いない
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