記憶の帰郷/なぎね
 
過去というものは記憶の積み重ねで
時間というベールを幾重にも重ねてゆけば
どんな経験もセピア色に染まり
綺麗なオブジェの出来上がり

過去を溜め込んだ洗面器に
右手を突っ込んでみる
つめたい?
あたたかい?
気持ち悪い?

それが君だよ
君のなしてきたもの
すべてだよ

さよならしたはずの自分も君自身
おかえり
ただいま
この街は相変わらず
肌にまとわりつくようだよ

戻る   Point(2)