吐く息とともに/殿岡秀秋
 
ていくことにした

小学生のときに
図画工作の時間に忘れ物をした
教師の視線を背中に感じながら
友だちから分けてもらって工作をおえた

それも詩に書いたら
突然思いだすことはなくなった
言葉にして出せば
浄化できるんだ

しかし無数にある失敗を
言葉だけでは処理しきれない
失敗の映像が
あふれ出るのを止められない

言葉だけでなくからだでも処理する
肺の空気をすっかりいれかえるように
腰を立て上半身の力をぬき
下腹を押しだす

鼻からゆっくり出ていく息につれて
からだから力みが減って
溜っていた物質も少しずつ消えて
気持ちが楽になっていく

これからは失敗しても気にしない
意識を遮断して臍の下に力をいれて
吐く息を土踏まずに感じながら
静かに自己を受けとめていく



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