恵比寿へ行ったの/はだいろ
ぼくはずっと、
ぼくという人間が、夢見たことや、
苦しみが報われたり、
いつか救われたいと願うことが、
すべて、
恋愛によって明らかになるものだと、
信じてきたようなところがある。
ある朝、
電車に乗っていて、
あかるい光がさしこみ、
こころのなかから、喜びが溢れてきて、
つい、うふふと微笑んでしまうような。
そうゆう日が、
いつか、恋人ができたら、
訪れるのだと、
41年間くらい、信じてきた。
日曜日、
彼女と、恵比寿でデートした。
どこへ行こうとも決められなかったから、
映画を検索したら、
ジョンレノンのドキュメンタリーがあったので、
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