きみという少年時代の秘境について/瑠王
 
きみという少年時代の秘境について

そこに恐れていたものなど何一つなかった

きみに吹く嵐は去り際をわきまえていたし

きみの森に虎なんかいなかった

過ち達は気前よく十字を切って

帰り道に気をつけるよう気遣ってくれた


きみという少年時代の秘境について

それらが何一つ存在しなかったかのようだ

痛々しい若葉の芽吹きもなく

きみの見せたがった光景は何処にもなかった

むしろきみはそれを伝えたかったのかもしれない


星が割れて落ちてきた

私は暫く気を失って

瞼を解いてみれば

そこにはただ川があった

その先はずっと海へと続いていた




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