バウムクーヘン/やや
歩み進んでも
先は見通せなくて
道は丸まっているのだと知った
ぐるぐると続き
次第にぴったりくっついて
わたしはひとつの幹になる
傷付いた部分には
すぐに新しい樹皮が覆って
盛り上がって枝が生えた
根はどんどん伸びる
土壌はまだゆるいけど、大丈夫
背丈を伸ばすたびに
こぶだらけになって
穏やかになっていく
もう寒くないね
生ぬるい空気を雨が滑る
雨降られ、嫌いじゃないんだよ
糸を辿って思い出に触れる
雫に触れて豊かになっていく
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