バウムクーヘン/やや
 
歩み進んでも


先は見通せなくて


道は丸まっているのだと知った


ぐるぐると続き

次第にぴったりくっついて

わたしはひとつの幹になる



傷付いた部分には

すぐに新しい樹皮が覆って

盛り上がって枝が生えた

根はどんどん伸びる

土壌はまだゆるいけど、大丈夫

背丈を伸ばすたびに

こぶだらけになって

穏やかになっていく



もう寒くないね

生ぬるい空気を雨が滑る

雨降られ、嫌いじゃないんだよ

糸を辿って思い出に触れる

雫に触れて豊かになっていく
[次のページ]
戻る   Point(2)