生活感のない足で彼女は/blue
目の前のあなたは
私の目を見ることもなく
その場しのぎの空気を纏う
息苦しさから逃れるため
私は砂糖が溶けるように
問い詰める
問い詰める
問い詰める
馴れ合いから逃れるため
私はストローが折れるほど
噛む
噛む
噛む
なのに
ストローのその感触と
隣のテーブルの
若い女二人の会話の語尾と
サ行が
心を容易にそそのかす
二人とも
生活感のない足の持ち主だった
それはたとえば
蚊に喰われた痕がないとか
むだ毛のないまるで人形のような足だとか
褒め言葉ではなく
正体のない足 とでもいうべきものだった
ここ じゃない どこかで
あなた ではない 誰かに
私じゃない 私を
いっそのこと
抱かせてみたら
それができないなら
喉を掻き切ってしまえばどうかと
長い茶色の髪が
光の中を転がっていく
若い女二人は
生活感のない足で
それを踏みつけていく
窓の外には
行き会いの空
高い空にさえ
私は鈍感で
空の色さえ識別できずにいる
ああ そろそろ
そっけない季節がやってくる
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