リルケを買いに…/折口也
 
リルケを見つけだせなかった
仏陀なんて今の僕には説教じみて近づけない
まして空海なんてなおさらだ
僕は書店の中で迷子になっていた

結局、僕はリルケを見つけられず
それはリルケに拒絶されたかのように
僕の胸に深く彫りこまれて
空虚な血を溢れさせる
今、僕を壁に押し付ければ
哀しみが転写されそうなくらいに


風はゆるやかに吹いて
代わりの本を持つ事もなく森を抜け出せば
哀しいほどに夏の匂いは
詩の果てへ僕を追いやる
リルケは僕を遠ざけて
昼下がりの光の中で
一人ぼっち
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