○△□×○/水町綜助
 

「美しい日本の私」
とでも空にコピーを一本書き込みたくなる
山村の清流でせせらぎに
耳を澄ませながら
いじったタバコを一服
僕はぼんやりと山並みを眺めながら
隣から立ち上る
まるい煙がほどけて
稜線の上、
白んだ
空白に
溶け込んで
消えてしまうのを
重ねて見ている
僕は川縁ぎりぎりに立って、
そいつは、
「長い」と言って
ベルトでたくし上げた
ワンピースに足まですっぽりとくるんで
ずっとはるかな
視線を投げかけている
ようにみえる
手に持ったタバコを
見つめているだけなのに

夜、
触れているの
に、ここにいない
ただ月だけが青く

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