当たりくじ/寒雪
ゃぐきみの
零れ落ちる笑顔に
足元にあるきみの硬直した骸が
タチの悪いホラー映画みたいで
停止ボタンを押せば
きれいさっぱりなくなってしまって
昨日まで見慣れた
きみの背姿が現れるような気がして
もちろんそれは
背筋が寒くなるジョークでしかない
いつの間にか
月の姿が見つけられるくらい
辺りは暗くなっている
一瞬
そこにある死体が
ぼくのものであるような気がして
思わず目を手で擦ってみる
別に
そこにある死体が
ぼくのものであっても構わなかった
むしろそれが自然
でも
きみは月の光でデスマスクを模り
ぼくは闇の吐息で頼りなげに輪郭を滲ませる
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