音のない洞窟( 落日編)/吉岡ペペロ
はどこにいるの
か
今ここにいる、そう思
えることが生きている
ということだった
そう思えないのであれ
ば落日となるしかない
のではないか
きみとの思いを壊して
しまわぬうちに
落日となってきみの朝
日となれるうちに
落日はだれかにとって
の朝日である
今オレはどこにいるの
か
異国の落日にオレは自
分を確かめた
だれも教えてくれなか
った
大切なひとはただオレ
に無償の愛でやさしか
っただけなのだ
シンゴは文字と格闘しながらタバコを吸ったりヨシミに電話をしそうになったりした
手帳の空白のページはこの詩の習作で埋めつくされていった
完成したとき手帳にはもう予定など書く場所すらなくなっていた
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