音のない洞窟( 足裏マッサージ編)/吉岡ペペロ
 

企業視察を終えて一度ホテルに戻り2時間ほど休憩してから有志でフットマッサージに出かけた

お客さんたちを座らせシンゴもマッサージを受けた

幅広の籐椅子に半分寝転がって愛想のよい男に足を触らせた

マッサージを受けながら前をすぎてゆく現地のひとを見つめていた

散歩でもしているのだろう

皆ひとりで歩いていた

散歩はひとりでするものだよな、

そうひとりごちてシンゴはまた深呼吸のようなため息をついた

おおきな雲に隠れていたのだろう

気づかなかったのだが空が西日に染まりはじめていた

隣で受けているお客さんが

ガイドさん、なかなかいい眺めのマッサージですなあ、

そう話しかけてきたのはさっき
[次のページ]
戻る   Point(2)